2010年1月29日金曜日

ムダと一緒に捨てたもの

Tech・On で連載している 思索の副作用 というコラムで、「ムダと一緒に捨てたもの」という話が好きです。
江戸時代からごく近世まで、問屋は大きな力を持っていた。だが最近は、分野によっては存続すら危ぶまれるほど存在感が薄まっているようだ。専門家の指摘によれば、それが「流通システム上のムダ」「不要なもの」とみなされ、「そんなものを温存しておく余裕はない」ということで敬遠されるようになった。
(中略)京都は、古い商習慣を大切にする土地だというのが、京都在住の方がよく口にする言葉である。江戸時代から続く窯元の当主もこんなことをおっしゃっていた。「うちは作るのが専門で、出入りの業者さんを通じて買っていただくということをずっとやっておりまして。でもね、最近はときどき、売ってくださいとお客さんが直接みえられるんですよ。それはえらい行儀の悪いことやということで、昔の人はやらんかったもんですけど」。
(中略)現在進行している「中抜きによって作家が多くのものを引き受けざるを得なくなる」という現象は、企画力の低下だけでなく、さらなる技術の低下、製品完成度の低下を引き起こすことになるだろう。
(中略)問屋とともに失われつつある重要な機能に気付いたのである。流行の言い方をすれば、セーフティネット。零細事業主である作家や工房を資金的にサポートし、景気の緩衝材となる機能である。
(中略)そんな緩い制度が、ムダとリスクを嫌う今日的なビジネス環境にあって存続できるはずもない。こうしたものを切り捨てつつ、個々が「贅肉のない筋肉質」の組織を目指した結果として、実は「飢餓に耐えられない」脆弱な社会を作り上げてしまったのではないか。そんな気がしてならないのである。

さらに最近、「デキる人研究家が語る「非効率な仕事」のススメ」という記事を読みました。
会社で「いまのプログラムでは対応できない」ということになったとき「いつものAではなく、Bでやりましょう」と、知識をもって問題解決を図れる人がいたら「アイツはデキるな!」ということになります。
同じように、「あの会社っていまどうなっている?」ということが話題になったときに「こういう状況です」と、すぐに情報を提示している人は「デキる人」と呼ばれます。突然会社にお客さんが訪れたとき、さっと機転を利かせて「ここではこんなことをやっています」などと分かりやすく丁寧に説明することができれば、こういう人も「デキる人」といわれるでしょう。
これは長く SE を続けてきた私もこれには同意できます。コツコツと知識を積み上げ、そして、会議などでそのスキルを即答した時、その人の評価が上がります。そして、事ある都度に聞かれるようになります。例え知らなくても「調べて回答しますよ」と言って、的確な回答をすれば、知識と信頼はさらに増えます。

では、どうしたら最初の知識は得られるのでしょうか?
私は 2つあると思います。それは仕事に係わる事に興味を持つ事と、仕事中に一見無駄・非効率と思える事に時間を割く事ですね。
前者は「好きこそものの上手なれ」。好きになればどんどん知識に貪欲になります。後者は前出の記事にも有る様に、何でもやってみる事です。
でも、ここで問題になる事があります。それは時間です。言い訳で一番多いのが時間が無いという事です。良く考えると、出来る人程時間は無いはずです。そこで重要となるのが「時間管理」です。前出の記事に「ITエンジニアに送る「はじめての時間管理術」」がありました。
私も入社して何年かは試行錯誤して、「ToDoリスト」も試してみました。でも「ToDoリスト」はやらなくてはいけない事の管理は出来ても、時間管理にはなりません。「ToDoリスト」が一杯になると気分が滅入って来るというデメリットもあります。
そこで考えたのが、まさしく記事と同じ様に、スケジュール帳に会議の予定だけでなく、作業も細分化して入れる様にしました。そうする事により、今日やるべき事と急な仕事が入ってきた時の調整も可能です。ましてや上司に対して、何々をやって欲しいと言われた際に、「わかりました。でも、それをやるには○×の期限を延ばすか、他の人にお願いしてもらえませんか?」と言うような事も即答できます。記事では、「アポイントメント」と「タスク」と呼んでいます。
ここで注意なのが、「タスク」を 1日の中で余りきっちり組み立てない事です。また、会議と会議の間に細かく入れない事です。少しの時間であれば、ちょっと息抜きやメール等で時間が無くなってしまいますし、精神的にも良くありません。

かなり話がそれました。
そう言えば以前、iPhone上の Skypeが 3G回線上で VoIP通信出来ないのを、米国の市民団体がFCCに訴えたという記事の話を同僚にした時、「通信業者がインフラに投資して整備した上で、それを利用して貰ってコストを回収している。3G回線上で VoIP で会話されてしまったら、ビジネスモデルが崩壊してしまう。それじゃ、入場料を払って施設に入って、利用料払わずにタダでサービスしろとクレーム付けているヤ○ザやクレーマーと同じだ。」と言われました。何気なく Skype を 3G回線で使えると良いな位に思っていましたが、ちょっと納得してしまいました。もちろん、利用者へのサービスという観点も忘れて欲しくは無いです。

タイトルの話題からそれて論旨が滅茶苦茶になってしまいましたが、色々考えると、日本の良い所の多くは無駄と一緒に捨てられつつあるのかも知れません。そして、失ったものと同じ位、得たものがあるはずなんですが、玉虫色が好きな人種、政治も含めて中途半端な状態で効果が発揮出来ないのでしょう。最近は郵政民営化等の改革が民主政権になり、逆戻りしつつあるのが良い例でしょう。